信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

土石流 減速せず住宅地へ 信大教授ら分析
2006年8月 2日(10:01)

 岡谷市湊で7月19日に発生し死者7人を出した土石流について、信大農学部の北原曜教授(治山学)らの研究グループは1日、流速が時速約25―26キロでほぼ一定のまま住宅地に達したと推定した。北原教授は「それほど速くなかったが、土砂が流れた小田井沢川流域は直線的で障害物も少ないため下流の住宅地で被害が大きくなった可能性がある」としている。
 北原教授らは、湊地区の住宅地から約1キロ上部の土石流発生地点付近と住宅地近くの谷筋の流れがカーブしている計2カ所で、土石流が斜面にどれだけ乗り上げたかなどを測量し、流速の推定値を算出した。建物などへの土石流の圧力(流体力)は、1平方メートル当たり少なくとも300トンだったと推定した。
 砂防学会などによると、1996年12月の北安曇郡小谷村の蒲原沢土石流災害の推定流速は時速約27―58キロ。北原教授は、小田井沢川流域が平均斜度9度と緩やかなため「それほど速くならなかった」とした。一方で、土石流が発生した谷筋から住宅地までは大きな蛇行がなく、中流部より下では立ち木などの障害物がない場所があるため「途中で失われるエネルギーが少なかった」とみている。


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