信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

辰野高「励み」のベスト4 応援の住民ら歓喜
2006年7月27日(09:33)
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 豪雨災害の被災地、上伊那郡辰野町の辰野高校野球部が26日、上田市の上田県営球場で行われた第88回全国高校野球選手権長野大会準々決勝の再試合を制し、ベスト4入りした。前日と合わせて5時間46分に及ぶ熱闘。3塁側スタンドは、同校生徒や復興ボランティアの合間を縫うなどして駆け付けた住民らで埋まり、「被災地に勇気を与えてくれた」と惜しみない拍手が起きた。
 2対2で引き分けた創造学園大付属高校が相手の再試合は、この日も1点を争い9回までもつれる試合展開に。スタンドでは、学校からバスで来た生徒有志約70人が、メガホンを持って保護者や野球部員と一緒に声をからし、「絶対に気持ちで負けるな」と、選手たちを励ました。
 土石流に見舞われた岡谷市川岸地区に自宅がある宮沢芳幸さん(73)は、ベンチ入りした孫で辰野高校3年生の宮沢辰典選手を応援するため、地区の清掃ボランティアの合間を縫って球場入り。宮沢選手はこの日、試合に出場する機会がなかったが、3対2で辰野高校の勝利が決まると、「被災地のためにも勝てて良かった」と表情を緩めた。
 同校2年の栗林夏美さん(16)はテレビで、前日の試合を見て落ち着かなくなり、入学以来初めて野球部の応援に足を運んだ。試合終了後に校歌を歌った後、「最高です」と目尻に涙。スタンドから選手たちを見守った同校講師の林理恵さん(25)は「辰野町内は今、災害で重たい雰囲気が漂う。甲子園出場の希望を手に入れて地域を盛り上げてほしい」と願っていた。
【写真説明】創造学園大付属高校との再試合を制し、喜びを爆発させる辰野高校のスタンド


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