信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

諏訪 観光も大打撃 ホテル冠水、霧ケ峰人影なく…
2006年7月22日(10:51)
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 諏訪地方や上伊那地方で大きな被害の出た今回の豪雨は、本格シーズンを迎えた県内観光にも深刻な影響をもたらした。観光関連施設が諏訪湖畔に集中する諏訪地方では、ホテルや旅館などが多数冠水。21日も営業を再開できず、掃除に追われる所が目立った。ニッコウキスゲが見ごろで書き入れ時を迎えた霧ケ峰や車山の高原でも、通行止めなど道路事情の悪化が影響し、予約キャンセルが相次いでいる。
 諏訪市湖岸通り3の旅館「双泉の宿 朱白」は19日、1階のフロントや売店がひざ上まで浸水。交通機関のまひで宿泊客約80人が同館負担で延泊し、翌20日、マイクロバスを手配してJR甲府駅などに送った。乗用車の宿泊客は、冠水した道路にボートを浮かべて駐車場まで渡した。従業員は21日も清掃に追われ、23日までの予約は断っている。
 同じ上諏訪温泉の「浜の湯」はコンベンションホールなどが浸水。温泉が濁って使えないこともあり、22日まで休業とした。じゅうたんや壁紙はすべて張り替える予定で、出費もかさむ。幹部社員は「観光客の集まるシーズンに営業を見送るのは大打撃」と肩を落とした。
 諏訪湖温泉旅館組合が19日に組合加盟のうち15施設に電話で問い合わせたところ、床上浸水が6施設、床下浸水が5施設に上った。影響は浸水しなかった施設にも及んだ。通常営業している旅館「ぬのはん」にも、交通事情の悪さなどから連日、60人分以上の予約キャンセルの連絡があった。
 霧ケ峰や車山を走るビーナスラインは、茅野市の大門峠旧料金所と車山スキー場間が路面崩落で通行止め。車山のスカイパークホテルは、7月の売り上げの大部分をニッコウキスゲが見ごろになる下旬に見込んでいたが、予約の大半がキャンセルに。本多正明宿泊課長は「長野県エリアに、今は行かない方がいいと思われているのでは」と落胆する。
 沿線のドライブイン、霧ケ峰ロイヤルイン(諏訪市四賀)も19日から22日まで休業とし、大型観光バスなどの予約をすべて断った。有賀浩之支配人は「ニッコウキスゲが霧の中でいっぱいに咲いているが、見る人はいない。ピークにこれでは、夏は終わったようなもの」と嘆いた。
【写真説明】諏訪湖畔の旅館は約50センチ床上浸水した。24日の営業再開に向け、売店の後片付けに追われる従業員=21日午前9時20分ころ、諏訪市湖岸通り3


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