信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

カーブで強い水圧 堤防決壊の天竜川、護岸の基礎削る?
2006年7月21日(09:31)
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 19日に堤防が決壊した上伊那郡箕輪町松島の天竜川右岸は、直線的な流れが約600メートル続いた後、下流に向かって左へ大きくカーブしている地点。国土交通省天竜川上流河川事務所(駒ケ根市)は、水位が高い状態が長時間続き、カーブの部分で水圧を強く受けて護岸の基礎が削り取られたのでは―と推測。20日は同省の専門家が現場を視察。分析を進めている。
 決壊した堤防は1988(昭和63)年に土を盛り、90年に基礎部分の川底を掘って厚さ1メートルのコンクリートの塊を埋め込んで、斜面をコンクリートで固めた。
 19日は諏訪湖からの放流量が増えたほか、各地の支流から多くの水が流れ込んで増水。現場から約5キロ下流の北殿観測所(南箕輪村)では、決壊25分前の午前10時に特別警戒水位(7・1メートル)を大きく超える8・11メートルを記録。20分後に8・14メートルに達した。
 同事務所の安藤元治副所長は「水量が多いと流れは速くなり、護岸への負荷が大きくなる。カーブがきつい場所ではさらに大きい」と説明。今回は長時間の負荷で基礎のブロックが掘り返され、決壊につながったとみている。
 決壊はまず約60メートルで発生、午後5時15分には約120メートルに拡大した。土のうやコンクリートブロックを投入し、現在は160メートルで食い止めている。水位が地面の高さを大きく超えなかったため住宅地の浸水は免れた。同事務所は「不幸中の幸い」としている。


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