信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

各地の被害 南信
2006年7月20日(10:48)

 梅雨前線の活発化による豪雨の影響で、南信地方では18日から19日にかけて各地で土石流や鉄砲水が発生、箕輪町で天竜川の堤防が決壊したほか、各地で小河川があふれて道路が冠水したり、土砂崩れが発生するなど住民生活に大きな影響を与えた。
<上伊那>
06072041.jpg 国土交通省天竜川上流河川事務所によると、県内の天竜川が決壊したのは中川村での1983(昭和58)年以来。消防団員は、決壊を防ごうと懸命に水防活動をした。伊那市野底の左岸では未明、命綱をつけて堤防をシートで覆った。右岸の南箕輪村でも堤防の上に土のうを積む作業を数カ所で行った。
 午前3時すぎ、箕輪町や同市西春近の2カ所で相次いで土石流が発生。民家20戸が被災した同町北小河内では、山から押し出されてきたらしい木材や、ひざ丈ほどまで積もった土砂や岩が周辺の道路を埋めた。
 辰野町赤羽でも土砂崩落が発生。民家3棟が全壊したが、住民5人は避難、3人が救出された。
 県伊那教育事務所などによると、上伊那では19日、小学校38校のうち28校、中学校14校のうち10校が休校。高校は私立を含む全9校が休校した。
【写真説明】並んで非常食を受け取る避難住民=19日午前7時半、伊那市東部中学校
<諏訪>
06072042.jpg 諏訪市街地は、諏訪湖に流入しきれなくなった河川の水が逆流してあふれ出し、道路の至る所が10センチ前後冠水して、通行止めが相次いだ。
 小和田南の中門川では水位が堤防ぎりぎりまで達し、一見すると周囲の道路と見分けが付かないほど。湖に近い湖岸通り3の美容室は、18日の夜のうちに出入り口に土のうを積んでおいたものの、店内は30センチ余り浸水した。
 市街地の広い範囲が冠水した影響で、住民は小中学校の体育館など5カ所に避難。城南小体育館に避難した女性(72)は「昭和58(1983)年の水害では、床上浸水になり怖い思いをした。家も心配だが、体の方が大事と早めに避難した」と話していた。
【写真説明】冠水した道路を走る乗用車=19日午前6時40分ごろ、諏訪市小和田南
<飯伊>
06072043.jpg 飯田市では、天竜川沿いの下久堅知久平舟渡地区と支流の祝井沢(いわいさわ)川から浸水した松尾明、松尾清水地区の計151世帯、535人に19日、避難勧告を出し、87人が近くの公民館などに避難した。飯田下伊那地方全体で、けが人などの報告はない。
 松尾清水地区では道路にひざ下まで浸水、住民らが排水や土のう積みに追われた。滝の沢地区では土砂崩落で民家の物置や車が15メートルほど下の川に。今宮町の今宮郊戸八幡宮では裏山の石垣が崩れた。喬木村で果樹園や畑が冠水、阿智村春日で水田が土砂崩落で埋まった。
【写真説明】決壊を防ぐため、堤防をシートで覆う消防署員ら=19日午前5時10分、伊那市野底の天竜川


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