新聞配達員の小林正子さん(57)が行方不明になった上田市手塚の産川沿いの現場。下流に向かって右にカーブする川沿いの市道は、長さ20メートル余にわたってごっそりと陥没した。石積みの護岸は流され、むき出しの土肌に濁流がぶつかる。道路舗装とみられる畳3枚分ほどのアスファルトの塊が約10メートル先の対岸に打ち上げられ、流れの激しさを物語った。
この陥没現場から約500メートル下流。樹木にかかるように、小林さんが乗っていたとみられる白い車が川面からのぞいた。地域住民が見守る中、警察や消防署員らがワイヤをかけ機材で引っ張るなどし、午後4時すぎに浅瀬に引き上げられた。だが車内に人影はなく、「いないのか」とため息交じりの声。手塚自治会長の大口義明さん(62)は「何の落ち度もないのに…」と安否を気遣った。