信濃毎日新聞ニュース特集「2006長野県知事選」
しっかりした治水を 被災住民「考える余裕ない」
2006年7月20日掲載

 豪雨災害の中で始まった知事選。被災地の住民は20日、自宅や避難先で治水や防災の大切さを口にしたが、「選挙のことを考える余裕がない」との声も聞かれた。

 諏訪市湖柳町の岡村恵美さん(41)は自宅が床上浸水し、幼稚園児と小学生の子ども3人と諏訪市文化センターで一夜を明かした。「避難場所に食料はあるが、ラジオなど災害時の備えがもっと必要」。やや疲れた表情。「被災して初めて、しっかりとした治水対策が必要ではないかとまじめに考えた」というが、「選挙に行くより家の片付けを優先したい」。

 美容室兼自宅が床上浸水し、午前5時からデッキブラシで床に残る泥を落としていた同市湖岸通り3の美容師、湯沢之雄さん(61)は「片付けも1日で終わる問題ではなく、知事選について考える余裕がない。一段落すれば考えたいと思うが…」。忙しそうに水浸しの室内に戻っていった。

 天竜川の堤防が決壊した上伊那郡箕輪町。町の避難指示で松島コミュニティーセンターに避難している会社員男性(53)は、新聞を読んだり、自宅から持ち出した服などを家族と整理したりしていた。「50年、100年に一度の洪水が問題になっているが、もっと身近な災害への対応はどうなっているのか。各市町村が迅速に対応できる政策を新しい知事に求めたい」。疲れた表情ながら「こうして避難してみると、地元の情報があまり入ってこなくて不安。情報量の格差も解消してほしい」と淡々と話した。


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