信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

屋代高「中高一貫」検討 新設中学併設が有力
2008年11月 8日掲載

 県立屋代高校(千曲市)が中高一貫校への転換を検討していることが7日、分かった。実現すれば、県内公立校では初。検討では、新たに県立中学校を設ける「併設型」が有力となっている。地元の中学生が、進学率の高い周辺の県立高校に流出するのを食い止める狙いがあるとみられる。

 同校は2005年に「フロンティア委員会」を発足させ、教頭を含む教員5人で検討している。それによると、公立中学校では入学時に学力試験を実施できないため、作文や小学校での成績で入学希望者を検査する。原則全員が屋代高校に進学する際、ほかの中学校出身者も入学試験を行い受け入れる。施設は、高校の定員を減らして空いた教室を県立中学校の教室に充てる案と、校舎を新設する案を検討している。

 同校は、通学区の広域化で進学率の高い周辺高校への生徒流出が課題になっている。千曲市内の4中学校の卒業生のうち、長野高校(長野市)と上田高校(上田市)に進学した生徒は、旧第4通学区時代の1995年度はそれぞれ2人、1人だったが、4通学区制下の本年度は10人、14人に増えた。

 また、屋代高校は文部科学省から受けているスーパーサイエンスハイスクールの指定が2010年度末で期限切れとなることもにらみ、中高一貫校への転換で教育課程に特色を出し、再指定に向けてアピールする狙いもある。

 フロンティア委は県外の中高一貫校の視察を重ね、県教委が今年9月に策定した高校再編計画の骨子で、旧第4通学区に「新しいタイプの学校づくりを検討していく」としたのを踏まえ、検討を本格化。12月にも転換後の教育課程や学科の案を作成する。堀金達郎校長は「中高一貫校はあくまで選択肢の一つだが、前向きに検討している」としている。

 県教委の山口利幸教育長は「県教委からの依頼ではないが、屋代で中高一貫校化を検討している話は知っている。地域で高校の在り方を議論することは歓迎する。早めに手を挙げてもらい、それに妥当性があれば検討する」と話している。

 [中高一貫校] 学校教育法の改正で、1999年度から導入できるようになった。一つの学校で6年間の教育をする「中等教育学校」、県や学校法人など一つの主体が中学校と高校を併設して高校入試を行わない「併設型」、既存の市町村立中学校と県立高校が、教育課程の編成や教員の交流などの面で連携する「連携型」の3種類がある。


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