信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

「今ごろなぜ」「指導白紙」 高校再編 生徒や教諭動揺
2006年9月16日掲載

 「統合すると説明してきたのに今ごろなぜ」「指導方針を練り直さなくては」…。15日の県会臨時会で、9件の統廃合計画のうち6件について「待った」がかかった県立高校再編問題。統合後の高校への進学を検討していた中学生や、統合を前提に生徒を指導した教諭に動揺が広がった。教員からは、2008年度以降の再編が不透明なことを気に掛ける声も出ている。
 来春の統合がなくなった大町市の大町高と大町北高の地元、大町第一中学校。両校を統合し新設する高校と松本市内の高校で進路を迷っていた3年生の宮坂彩由美さん(15)はこの日、友だちと行きたい学校像や進路について話した。「新しくできる高校に期待してたのに」「今ごろ否決されたらかえって迷惑」との声が多かった。
 宮坂さんはこれまで4高校を見学したが、生徒数が多い松本市内の高校に活気を感じた。「大町高と大町北高も統合すれば、生徒が増え部活や行事も盛り上がる…」。結果に疑問も感じるが、規模が小さめな地元校か、通学に時間がかかる松本市内の高校のどちらかを選ぶという。
 進路指導主事の山本尚教諭(35)は「これまでの指導は白紙だ」。今後、大町高と大町北高のそれぞれに説明会の開催を要望するなど、準備を急ぐつもりだ。
 堀口潔教頭(46)は「従来のノウハウを使える分、指導はやりやすい面もある」と受け止める。だが、少子化で将来の高校再編は避けられないとも思う。「これで議論が終わってしまうなら、県も県会も無責任。同窓会や中高生を入れ、新高校をつくる検討の場を設けてほしい」と注文を付けた。
 松代高(長野市)との統合方針が否決された長野南高(同市)。同校へ毎年生徒が進学する中学校の教頭もこの日、「対応はすべてこれから」と話した。松代、長野南の2校は08年度の統合が否決されたため、この教頭は「生徒の不安感はつきまとう。早く将来計画を」と気をもむ。
 長野南高も志望校の一つとして想定しているという、長野市更北中3年の女子(14)は「なくなると寂しいと思っていたので良かった。とにかくこれからのテストの結果次第。しっかり勉強を続けたい」と淡々と話していた。


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