信濃毎日新聞ニュース特集

どうする高校改革

屋代南―議論の時間不十分 長野南・松代―統合に無理
2006年1月30日掲載

 県立高校の再編をめぐり、県教委に提出する報告書案について詰めの議論をした29日の第1通学区(北信)高校改革プラン推進委員会。中村正行委員長が示した案では、多部制・単位制への転換候補校は、屋代南(千曲市)が、県教委案の坂城(坂城町)より優位であるとし、長野南と松代(ともに長野市)の統合も「やむを得ない」とした。委員会で対象が具体化したのを受け、各校の関係者からは、学校のなくなったり、大きく変わったりしようとしていることに対し、十分な論議が交わされたのかといった疑問や、将来への不安の声が相次いだ。
 議論の結果、多部制・単位制への転換候補となった屋代南。「途中から校名が挙がったので、地元で十分に論議する時間がなかった」と、同高校の将来を考える会の中沢満子副会長(72)は残念がる。多部制・単位制になると高校はどう変わるのか。「県教委の説明が不十分で、住民には見えない」と批判。ライフデザイン科(被服科)について「クラスがない多部制・単位制で、その特徴がなくならないか不安」と述べた。
 坂城高校生徒会の竹内有香会長(17)=2年生=は「2007年4月という再編実施時期を優先して論議している」と指摘。多部制・単位制は人口の多い都市部がいいという提案が以前の論議であったことを挙げ、「10年20年先にかかわることなのだから、議論を尽くすまで対象校は決めないでほしい」と訴えた。
 松代と長野南の統合で、どちらの校舎を使うのか、この日の案では両論併記となった。長野南高校の存続を願う会の麻沼和男会長(81)は「どちらかに絞れなかったのは、統合に無理があるから」と強調。長野南がある川中島・更北地区で新興住宅地が広がりつつあることを踏まえ、「将来の発展性があるのでなくすことは考えられない。県教委には存続を求めたい」と話す。
 長野南と同様に、地元の各種団体とともに県教委に統合反対を求めてきた松代高校同窓会の春原忠由会長(68)は、両論併記になったことについて「これから受験する中学生を混乱させることになる」と指摘。同校の存続を前提としながら「10月からは100周年記念事業が始まる。県教委は早く実施計画を出してほしい」と訴えていた。


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