信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

災害に強い森へ 岡谷−諏訪の山林を保安林として整備
2006年11月30日(10:06)

 諏訪地方事務所は、7月豪雨で土石流や土砂崩落などの被害が集中した岡谷市川岸東から諏訪市湖南にかけての河川上流域の山林を保安林とし、災害に強い森林に改良する計画を地元区と進めている。11月上旬から説明会を順次開催。森林所有者の承諾がまとまり次第、国に保安林指定を申請して、2008年度の着手を目指している。
 同地事所林務課によると、この地域で保安林に指定されているのはごく一部。7月豪雨では、指定区域外で畑にした場所や間伐などの手入れが不足して細く密生したカラマツの人工林を中心に被害が発生したという。
 保安林改良事業は県が行い、国が半額を補助する。県は指定を受けた後、間伐や植栽を強化し、根が深く張る広葉樹を針葉樹に織り交ぜた混合林を整備。60年間かけて地面が崩れにくい森林を育てる構想だ。
 保安林に指定されると、所有権は移転しないが、所有者は土砂の搬出、伐採、開発が制限されるため、説明会を開く。29日までに川岸東の駒沢区と鮎沢区、岡谷市湊の花岡区で開催。同地事所の松瀬収司林務課長は「被害が集中しており、山に問題があることは明らか。被害のなかった場所でも、治山への意識が高まれば」とする。
 また同地事所は12月中旬から、緊急治山事業として岡谷市の11カ所、諏訪市の3カ所で川の浸食や斜面の崩落を防ぐ谷止工(たにどめこう)と土留工(どどめこう)を計95基整備、来年秋までの完成を目指す。
 諏訪建設事務所も、緊急砂防事業のえん堤整備を12月1日から岡谷市川岸上の待張川で始め、来年度末までに岡谷市の12渓流と諏訪市の1渓流に砂防えん堤計21基を築く。


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