信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

伊那まつり中止に商店街から懸念の声 「妥当な判断」とも
2006年7月28日(09:15)

 8月5、6日に予定した「伊那まつり」の中止が決まった翌日の27日、伊那市役所には問い合わせや抗議の電話が相次ぎ、事務局の市商工観光課は対応に追われた。
 同課によると、中止決定に対して、市民おどりの会場となる中心市街地の商店主は「過剰反応」とし、踊りの練習を重ねてきた小学生の保護者らからは「まつりに代わる発表の場を」との訴えも。一方、地元企業の役員からは「被害者の心情や状況を考えれば妥当な判断」と評価する意見もあったという。
 26日夜の「伊那まつり委員会」(会長・小坂樫男市長)の緊急会合では、委員26人の意見は実施と中止に割れた。中止・慎重派は、西春近など市内の被災者への配慮に加え、上伊那地方の中心市として、死者が出た辰野町など近隣への気配りも訴えた。地元企業からも慎重論が出ているとの報告もあった。
 これに対して商店街からは27日、「市民祭であるはずが、イメージや体面を優先し、主役である一般市民を軽視してはいないか」との指摘や、「まつりを支えている若い実行委員のやる気が落ちてしまうかも」との懸念も聞かれた。
 市によると、同まつりの2日間の人出は約8万人。まつり2日目に開催予定だった花火大会は今秋に順延される可能性が高まっているものの、まつりの「中止」は34回の歴史で初めて。


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