信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

宿泊キャンセル相次ぐ 好天と復旧 祈る観光地
2006年7月22日(10:26)
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 梅雨前線豪雨によって、幹線道路の通行止めが続いたり、一時通行止めになった影響で、松本市安曇の上高地や木曽町などで、宿泊施設のキャンセルが相次いでいる。それぞれの観光関係者からは「早く好天が続いて復旧し、観光客に戻ってきてほしい」と切実な声が聞かれる。
 上高地は21日も未明から雨が強く降り、河童橋やバスターミナル周辺の観光客はまばら。松本電鉄上高地営業所によると、17日から続いていた県道上高地公園線の通行止めは20日午後に解除されたものの、21日に沢渡や平湯から来たシャトルバスの乗客はゼロか1、2人程度。同営業所は「週末まで影響が残りそう」と心配する。
 松本市営上高地アルペンホテルでは、21日の宿泊予定の9割、22日も5割がキャンセルされた。別の宿泊施設でも、今週末の宿泊や、槍・穂高連峰などへの登山後、7月中に宿泊予定だった団体や個人計約150人がキャンセルした。経営者の男性は「これだけ多くのキャンセルは痛い」と話す。
 一方、上松町では、赤沢自然休養林へ通じる道路ののり面が19日午前に崩壊。町は21日に土砂の撤去やシート張りなどを終えたが、「地盤が安定するのを見極めたい」とし、開通を週明けの24日と決めた。休養林では、土日曜日に運行していた森林鉄道を22日から毎日走らせ、家族連れなどを受け入れる予定だったため、出ばなをくじかれた形だ。
 大きなみこしを縦横に転がす豪快さで知られる祭り「みこしまくり」を22、23日に控える木曽町。大雨と国道361号の通行止めなどの影響で、ほぼ満杯だった旅館などの宿泊予約はキャンセルが続き、ある旅館は7割ほどの宿泊になるという。今年は、同国道権兵衛トンネルの開通を受け、実行委員会がチラシを初めて伊那に配布するなど力を入れていただけに、関係者の落胆は大きい。
 ただ、伊那から権兵衛トンネルを通り、通行止め個所を迂回(うかい)して塩尻市奈良井に向かう県道の通行止めが、22日午前8時に2トン以下の車に限って解除される予定。関係者は「宿泊の空きもあるので、ぜひ足を運んで」と呼び掛ける。
 塩尻市の旧中山道宿場町、奈良井宿でも民宿の予約キャンセルが相次ぎ、国道361号の早期復旧を望む声が出ている。
【写真説明】上高地を訪れた観光客は、河童橋から増水した梓川を眺めていた=21日午前9時25分


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