信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

また雨、被災地緊張 岡谷は避難3日目「不安」
2006年7月21日(14:33)
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 被害はさらに広がるのか−。21日午前の県内は再び雨の天候となり、豪雨の被災地は再び緊張感が高まった。岡谷市内では新たに土砂崩落が起きたほか避難の対象地域も拡大、一部の避難住民は別の避難場所に移った。県内では21日正午現在、4人が行方不明のままとなっているものの、一部で捜索を中断したり、態勢の縮小を余儀なくされた。
 岡谷市湊の花岡公園近くでは21日午前、土砂崩落が発生し、避難指示が出た。防災行政無線が避難を呼び掛ける中、両手や脇に荷物を抱えながら急いで車に乗り込む被災者たち。湊3の花岡滋さん(75)が行方不明となっている19日の土石流災害で岡谷南部中学校体育館に避難していた住民約60人も、同中が避難指示対象になったため避難場所の移動を強いられた。
 「中学校なら大丈夫だと思っていた。避難3日目で(生活の)ペースがつかめてきたのにまた移動しなければならないから不安」。田中小学校体育館に移る女性(59)は不安そうに話した。
 新たな避難指示対象になり、自宅から避難してきた浜文七さん(88)は「突然の指示でびっくりした。財布も持って来られなかった」。自宅から持ち出したのは座布団と胸ポケットに入れた携帯電話だけだった。
 上伊那郡辰野町小野飯沼の現場では21日午前8時から、行方が分からない小沢矩子さん(67)の捜索を地元消防団や岡谷署、自衛隊員ら約100人が再開。小雨が降ったりやんだりする中で、重機と手作業で土砂などを取り除きながら、注意深く作業を進めた。近所の男性(74)は、発生時の様子を「めりめりという音がして、ゆっくりと山が崩れてきた」と話し、心配そうに捜索を見守っていた。
 辰野中学2年根橋清香さん(13)が鉄砲水に流された同町小横川では、同日午前7時半から捜索が再開された。山から数回にわたり崩れた土砂が層になって堆積(たいせき)。大型重機1台を新たに投入、計4台で作業しているが、昨夜からの雨で足場はぬかるみ難航した。見守った住民は「本当にとんでもないことになってしまった」と声を落とした。
 上田市の産川では、行方不明となっている上田市新町、新聞配達員小林正子さん(57)の捜索が続いた。前夜から増水もあり、捜索態勢は縮小され、自治会役員や地元住民は新町の西塩田会館に待機した。自治会役員らは安否を気遣いながら「やきもきするが、2次災害の危険を考えると仕方がない」と悔しそうに話した。


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