信濃毎日新聞ニュース特集「2006長野県知事選」
豪雨災害が候補予定に影響 会見中止、集会白紙
2006年7月20日掲載

 19日にかけ、県内に大きな被害をもたらした豪雨災害。知事選告示を20日に控えた現職の田中康夫氏(50)、新人の村井仁氏(69)の2人はこの日、活動の予定をそれぞれ大幅に変更、後援会事務所の関係者らも終日、対応に追われた。交通網の混乱などで告示後の日程も見通しが立てにくくなっており、災害の影響は選挙戦にも及びそうだ。
 田中氏は、18日夜から県大雨対策本部の本部長として県庁に詰め、断続的に開いた会議に出席した。19日午後は県の防災ヘリで伊那谷や岡谷市の被災現場を視察。この日は県庁で記者会見し、自ら告示日の遊説予定などを説明することになっていたが中止した。
 岡谷市湊地区の土石流発生現場を視察した際には、報道陣の取材に「県民のために復興を優先することが大切。地域の人が手を取り合って、地域のきずなを取り戻してほしい」と述べた。
 田中氏を推薦する「しなやかな信州をはぐくむ県民の会」は19日、選挙事務所となる長野市内の事務所で電話開設などの作業に追われた。告示日のポスター張りは各地のボランティア頼みだが、スタッフの1人は「伊那市のボランティアの中には避難している人もいる。道路が寸断されて回れそうにない」と心配そうに話した。
 一方、天竜川の堤防が決壊するなどした上伊那地方で集会などに出席する予定だった村井氏は、日程を白紙に。前日夜から宿泊していた塩尻市内で、住民が避難した小学校の体育館や市災害対策本部などを訪問し、避難住民を見舞ったり、職員をねぎらった。
 小泉内閣で防災担当相を務めた経験から、立候補表明以降、集会などで防災対策の充実も訴えている。この日午後、松本市内で記者会見し「今回のような事態は、公共事業削減と言って治水、砂防事業を軽視してきた県政にも責任がある」と批判した。
 長野市内の後援会事務所では、支援者らが告示日に計画していた飯田市や伊那市の遊説ルートについて、道路状況などの情報を収集。陣営幹部は「被災地を回る際、派手に支持を訴えるのはどうか」。気象情報も確かめながら、訪問先やルートの練り直しを急いだ。


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