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槍ヶ岳とともに 穂苅家三代と山荘物語

槍ヶ岳とともに 穂苅家三代と山荘物語

山岳・高原 標高3180メートル、国内5位の高さを誇る名峰、槍ヶ岳。若くして槍ヶ岳に魅せられた穂苅三寿雄さんが大正6年、槍沢に山小屋を設けて以来、穂苅家は山頂直下の山荘の当主として、槍ヶ岳とともに歩いてきました。本書は、95年にわたる山荘経営の歴史を、豊富な未公開写真とともに綴った貴重な記録です。穂苅家三代の当主は、江戸時代後期に前人未踏の槍ヶ岳を開山した播隆上人の研究者として、またそれぞれが山岳写真家としても活躍しており、知られざるエピソードも満載です。著者は信濃毎日新聞社OBで山岳ジャーナリストの菊地俊朗さん。

●目次
第1章 穂苅三代
第2章 槍への道
第3章 山荘の年輪
第4章 穂先をめぐって
第5章 思い出の人々
第6章 山小屋の舞台裏
第7章 引き継ぐ播隆研究
第8章 写真と穂苅家



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読者レビュー(9件)
務台俊介さん(2012年10月26日 12:52) 評価:★★★★★

槍ヶ岳山荘の経営者である穂刈康治社長から、2012年4月に刊行された「槍ヶ岳とともに」という本を頂戴した。ここには、菊地俊朗という信濃毎日新聞社の元松本本社代表を務められ、現在は山岳ジャーナリストとしてご活躍の執筆者による、槍ヶ岳に魅せられた山小屋経営者3代に亘る苦闘の歴史が綴られている。
今や人気モデルの「押切もえ」さんも登頂に挑む槍ヶ岳を代表とする日本アルプスは、その麓に住む我々地元民にとっては、当たり前の風景であるが、その絶景は実は世界でも第1級の自然パノラマであることも当然のように知られている。
しかし、この国際山岳資源を世に出すために如何に先人が苦闘を繰り返してきたのか、その苦悩の歴史は余り知られていない。
山小屋無くしては、今日のアルプス山岳登山の隆盛は期待できなかったであろう。この本は、その隆盛を当事者として支えた人々の営々とした苦労がしっかり伝わってくるドキュメンタリー物語である。
登山好きの松本市内の商店主の肝いりで山小屋経営が始まったこと、槍への登山ルートを巡り従来のルートに権益を有する山小屋グループとの確執があったこと、大学の登山部のマナー違反による山小屋の被害、診療所の開設に至る経緯などが興味深く綴られている。
中でも私が興味を持ったのは、穂刈家が非常な熱意を持って江戸時代の槍ヶ岳開祖である播隆上人の開山の履歴を紐解いた経緯である。実は、日本山岳会は、播隆上人の開山の歴史的事実を余り重視せずに、英国人宣教師ウェストンのアルプス登山を大いに宣伝してきた経緯があったようである。穂刈家にはそうした「欧化主義」に対する反発心もあり、播隆上人の業績を世に出そうとしたとのことであった。
穂刈康治社長の祖父に当たる穂刈三寿雄氏により編まれた「播隆」という本を下敷きに、新田次郎氏による「槍ヶ岳開山」が書かれ、新田氏はそれにより山岳小説という新分野を切り開いたと評価されたとある。
しかしながら、新田氏は小説の面白さを重視するあまり、史実にないことを書き連ねたことから、「播隆」の執筆者の穂刈三寿雄氏はもとより、地元で播隆上人のことを知る多くの関係者からクレームの嵐が巻き起こったことも綴られている。
本の中には、私個人としても非常に興味深い記述がある。それは、「旧野沢村(安曇野市三郷)の庄屋、務台与一衛門影邦が天保6年(1835年)、播隆が槍ヶ岳参籠中に、4日がかりで槍ヶ岳に登山した山行記『槍ヶ岳道法』が出てきた」とのくだりである。そして、この『槍ヶ岳道法』を含む務台家文書「公私年々雑事記」には、「天保5年以降の播隆の幾つかの消息を具体的に裏付ける書き込みがあった」とし、貴重な古文書と評価がなされている。
この与一衛門影邦は、実は私の6代前の先祖である。会ったこともない180年前の先祖の営みに現代の本の中で接することが出来るということは、何という感動であるかと、再認識した次第である。
機縁は重なるもので、初代の槍ヶ岳山荘経営者の穂刈三寿雄氏は松本市の六九商店街に店を構えていた縁で、これまた私の妻の先祖である商店経営の傍ら登山家としても知られた土橋荘三という人と共に、山小屋経営を目指したとも紹介されている。
こういう先祖の足跡を知り、そうした視点も踏まえて槍ヶ岳、日本アルプスを臨むにつけ、この自然を更に付加価値を付け、後世により良い形で引き継がなければならないと思い定める次第である。


群馬県・79歳男性さん(2012年07月27日 11:41) 評価:

槍ヶ岳山荘には昭和40年代から泊まっております。山荘の3代にわたるご苦労、大変だったと思いました。初代の山荘建設には人の力で葉氏らや材木を登ってかつぎ上げたのは創造ができないほど苦しい荷上げではなかったかと思います。そのような私の知りたいところがよく分かりました。これからも槍ヶ岳山荘に泊まりたいです。穂苅貞雄先生、長生きしてください(愛読者カードより)。


伊那市・83歳男性さん(2012年07月12日 12:02) 評価:

書評の説明、書店の宣伝通り、大いに期待して読みました。本当によく詳細に解説されており、立派な内容でした。小生も何度か北アには行っておりますので、久しぶりに一気に完読しました(愛読者カードより)。


安曇野市・83歳男性さん(2012年06月25日 13:17) 評価:

穂苅家三代にわたる槍ヶ岳物語、興味をもって読みました。初代三寿雄さんとは穂苅写真館時代にお目にかかり、出身校の卒業アルバムを作っていただきました。戦後の日も浅い昭和21年ですから、既に66年も昔になります。当時まだ食糧不足ですから、お米とお金どちらでも、ということでした。店の玄関に立つ三寿雄さんの姿、懐かしいです。2代目貞雄さんは私たちの先輩でもあり、卒業50周年記念に「槍」の秀作を全員に配布した思い出もあります(愛読者カードより)。


塩尻市・76歳男性さん(2012年06月20日 11:39) 評価:

槍ヶ岳山荘グループ創立95周年祝賀会で、本をいただきました。小生は北アルプス南部地区の山小屋へ食材、主に野菜を納入している業者で、もう30年以上になります。この本を読んでいると、思い当たることがたくさん出てきてとても楽しく、時にはそうだったのかと自分自身で納得することもありました(愛読者カードより)。


千葉県・81歳男性さん(2012年06月06日 09:57) 評価:

『山の社会学』で“山岳ジャーナリスト”の実力を遺憾なく発揮された菊地さん。それまでの山書では知りえなかった新鮮な山の情報を教えていただきました。今回の本は、山と人間の関係という新視点からのアプローチ。槍に魅せられた穂苅家三代のユニークな人物像が浮き彫りにされ、ワサビのきいた文章で読み応えがあります。随所に挿入された写真・図版も見ごたえがあり、この本をいっそう魅力にしています。
活字も適切で、高齢者層にも気配りがうかがえる編集。とにかく読んで面白く、見て楽しめました。菊地さんのますますのご健筆に期待いたします(愛読者カードより)。


神戸市・75歳男性さん(2012年06月04日 17:38) 評価:

山小屋経営の難しさが少しわかりました。遭難救助の難しさ、新雪・残雪シーズン等の山小屋の運営などにも、体験事例から登山者への警告の意味をこめて記述してほしかった。また、山小屋の利用が観光化しないように、経営面で配慮されるようにお願いしたい(愛読者カードより)。


山ノ内町・74歳男性さん(2012年05月29日 13:21) 評価:

大変な労作である。全国の遭対協隊員の手記を集めて発刊されたらいいといつも思っています(愛読者カードより)。


ベンさんさん(2012年05月06日 18:50) 評価:

『山の社会学』で“山岳ジャーナリスト”の実力を遺憾なく発揮された菊地俊朗さん。(それまでの山書では知りえなかった新鮮な山の情報を教えていただきました。)
今回の本は、山と人間の関係という新視点からのアプローチ。槍に魅せられた穂苅家三代のユニークな人物像が浮き彫りにされ、ワサビのきいた文章で読みごたえがあります。随所に挿入された写真・図版も見ごたえがあり、この本をいっそう魅力的にしています。
活字フォントも適切で、高齢者層にも気配りがうかがえる編集…。とにかく読んで面白く、見て楽しめました。
菊地さんのますますのご健筆に期待いたします。



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