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夢自在 旧松代藩御用商人八田家に吹いた風

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社会・ノンフィクション  長野市南東に位置する松代町は、真田十万石の城下町。真田邸や松代藩文武学校などの文化財をはじめ、多くの武家屋敷が残り、夕暮れの辻には麻裃の武士が歩いてきそうな気配さえ漂うそんな町だ。そんな松代町の一角に、真田家六代幸弘の時代から力を振るい、藩政を裏から支えた存在であった御用商人八田家が今尚、商家の格式を背負いながら、三百年の歴史を伝えている。
 著者の八田千鶴さんは、この八田家に十九歳で嫁いだ。親戚筋だったとはいえ、昭和初期に洋服を着て小学校に通っていたような進取の気性の強い家から旧家へのお嫁入りは、大きな戸惑いと苦労があった。
 旧家のしきたりや伝統を守る暮らしを仕込まれた戦前、雑誌『婦人之友』を傍らに新しい家庭像を模索しながら、「婦人之友社」主宰の友の会員として講師などで活躍した戦後、そして「松代」という地域の文化を次世代に伝えるため活動を始めた最近まで、日本の激動の時代と重なる八十八年の人生を通して「伝統を守るためには変革こそが大切である」ことを教えている。
 聞き書きは、旧松代城復元工事完成を機に始まった松代の文化発信事業「エコール・ド・まつしろ2004」で専門プロデューサーを務めた石川利江さん。八田さんと二人で八十八年の時間を遡行しながら、日本が見失い、捨ててきた多くのものを探した。








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