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信毎の本ガイド

信州学大全

信州学大全
前進型(大町市、昭和43年)
の田植え

教養・教育  身近な自治体に再編の大波が押し寄せています。隣接の市町村との合併を模索する地域。あらためて自立を誓う地域。“生き残り”をかけた対応はさまざまです。
 私たちの信州について考えてみましょう。
 そもそも私たちは、生まれ育ち、また移り住んだこの地域について、どれほど深く知っているのでしょうか。広く長野県、日本、世界の中で、どのような位置をしめているのでしょうか。
 日本の地理学・地誌研究をリードしてきた市川健夫・長野県立歴史館長(東京学芸大学名誉教授)が、研究成果の集大成として取り組みました。広く国際的な視点に立ちつつ、親しみやすい語り口で、地域の事象を鋭く分析しています。
 信州の自然、歴史、文化の各領域を27章100余節に分け、縦横に論述。何気ない風景、習俗の中にも鮮やかな光を当てます。信州に住む人、信州に関心を持つすべての人に必携の書です。

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後退型(姨捨の棚田、昭和45年)

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本棟造りの民家(辰野町小野、昭和45年)


---「なるほど」信州 本書の内容から---

<信州は東西文化の接点>
 歳取りの魚は、フォッサ・マグナを境に東はサケ、西はブリで、県内ではおおよそ東北信と中南信の生活習慣の差となっています。田植えの方法も、機械化以前は南北で違いが見られました。東北信が後退しながら苗を植えていくのに対し、中南信は前に進みながら植えていたのです。民家をみると、中南信には、この地域しか見られない「本棟造り」という豪壮な建築物があります。これに対して東北信では「大壁造り」の民家がよく見られます。

<木曽は美濃国?>
 歴史的にみると、古代科野国(信濃国)の領域には、県坂【あがたざか】(現鳥居峠)以南の岐蘇(木曽)は含まれていません。古代岐蘇(木曽)地方は美濃国恵那郡に属していました。しかし鎌倉幕府の公式文書である『吾妻鏡』には「信濃国木曽」と書かれるなど、その所属はあいまいでした。木曽地方が正式に信濃国になるのは、武田信玄の木曽谷支配以降です。公式文書で示されるのは正保4年(1647)の「信濃国絵図」です。山口村が県境を越え岐阜県中津川市との合併の道を進んでいます。合併しても馬籠宿で生まれた島崎藤村は「信州の藤村」である点、変わりはありません。

<郡の序列>
 古代信濃国は10の郡に分たれて行政が行なわれていました。明治12年(1879)に郡制が施行されるとともに、面積の大きい郡は上下、南北、東西に分割されて、長野県は16郡になりました。行政文書に登場する際の序列は南佐久・北佐久・小県・諏訪・上伊那・下伊那・西筑摩(現木曽)・東筑摩・南安曇・北安曇・更級・埴科・上高井・下高井・上水内・下水内の順になっています。この郡の序列は何を基準にしているのでしょうか。

<文明開化の果物・りんご>
 現在、信州は全国2位のりんご生産県となっています。このりんご(西洋りんご)の栽培が始まったのは明治になってから。殖産興業政策の一環として苗木がアメリカから輸入されました。明治5年(1872)のことです。立役者は現飯田市出身の農務官僚田中芳男でした。田中は西洋りんごに対して苹果【りんご】の字を当て、従来の倭林檎【わりんご】とは意識して区別していました。アップルと片仮名のルビを振り、おお(大)りんごともいっていました。

 まだあげ初めし前髪の
 林檎のもとに見えしとき
 前にさしたる花櫛の
 花ある君と思ひけり

 島崎藤村が詩「初恋」にうたったりんごは、文字通り小さな倭林檎だったのです。

<主な内容>
第1章「日本の屋根」信州の自然と文化
第2章 鰤(ぶり)街道と鮭(さけ)文化圏
第3章 南北に長い信州の風土
第4章 中央高地に立地する長野県
第5章 長野盆地の自然と土地利用
第6章 シナノノクニと呼ばれた長野県
第7章 唱歌「信濃の国」の制定と長野県民
第8章 峠の国信州
第9章 信州における道と街道
第10章 シナノノクニの歩み
第11章 近世における信州の暮らし
第12章 長野県における近代史
第13章 近現代における長野県農業
第14章 高度な農業生産と焼畑農業
第15章 「日本の屋根」信州の果樹農業
第16章 長野県における近代畜産業の発達
第17章 神津牧場の経営と展開
第18章 信州のバイオ資源
第19章 信州におけるサケ漁
第20章 長野県獣・ニホンカモシカ
第21章 信州の風土と食文化
第22章 長野県における食文化財
第23章 山国信州の民家
第24章 信州の観光とリゾート
第25章 信州における美的景観
第26章 多様な信州の地域性
第27章 信濃の風土歳時記



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