下田 博次さん Hirotsugu Shimoda
インターネットというメディアは、なぜ創造されたのだろうか。このところ私は、テレビ以上に便利に使っているこのツールのことを考え続けている。買い物に、あるいは趣味の手軽な発信に便利等ということは、使えば誰でも体感できる。なにしろこれは、エゴイスティックなまでに個人のパワーを増大させるパーソナル・メディアなのだ。しかし自分の都合、便利だけを謳っていて済むのだろうか。
日本では、私のこんな問いかけは奇異に受け取られかねないが、インターネットの母国である米国では技術開発の原点を巡る議論が当たり前のようになされている。たとえば「ブログこそインターネットの夢を実現するソフトだ」という熱い主張などが、それである。ブログは「創発民主制」という従来の民主制の限界を超える社会を作るために発想されたからだ。現在の日本のインターネット利用は、本当に社会を発展させる方向に向かっているのか？今年は、そんな観点から応募作品を眺めてみたい。
【しもだ・ひろつぐ】
ジャーナリスト、群馬大社会情報学部大学院教授。1942年生まれ、早大第一商学部卒。警察庁「少年インターネット利用に関する研究会」座長など歴任。市民主導のＩＴ（情報技術）革命を唱え、子どものインターネット利用を考えるホームページ「ねちずん村」を主宰する傍ら、ラジオで若者や親に向けインターネット・携帯電話の危険性を訴える番組を企画・放送している。06年７月から今年４月にかけて信濃毎日新聞くらし面に「続・ケータイの落とし穴」を連載。
高城 剛さん Tsuyoshi Takashiro
最近のインターネットのトレンドは、間違いなく動画にあります。それも自分のサーバーに動画ファイルを置くのではなく、ＹｏｕＴｕｂｅのような動画サーバーにファイルを置いて、自らのサイトとリンクするような仕組みと表現の可能性がポイントです。
これこそがテレビを超え、インターネットが基幹メディアになる一歩です。今年は、そんな表現だけではなく、メディアの可能性を追求したものを、楽しみにしています。
【たかしろ・つよし】
映像作家、ハイパーメディア・クリエイター。1964年、葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオ・ビエンナーレ」でグランプリを受賞。総務省情報通信審議会専門委員など歴任。六本木ヒルズのコマーシャルやルイ・ヴィトンのためのジャパニメーションのプロデュースなど、多方面で活躍。また、ボーダフォン、ヴァージン・アトランティック航空の広告に自ら登場。今年は「ひきこもり国家・日本」（宝島社）、「サヴァイブ南国日本」の二冊を出版。
三井 貴美子さん Kimiko Mitsui
ショッピングや情報源として役立つとしてだけでなく、自己表現の場としてインターネットを利用される方は年々増えています。ホームページ、ブログ、それぞれの利点を活かし、個性豊かな作品を見るのは楽しいものです。
信毎ホームページ大賞には、生活のヒントになる作品もあれば、娯楽的要素の強い作品など、さまざまなジャンルの作品が集まり、新しい発見や驚きを体験させてもらっています。今年はどんな作品に出会えるのか、今から楽しみです。
【みつい・きみこ】
長野県出身のデジタルライター。大学卒業後、シンクタンク系企業に就職。プログラマーやマーケティングの仕事に携わった後、フリーに。以後データベース構築や、Webデザインなどパソコン関連の業務を行う中でライターとしても活動。99年に東京から塩尻市に転居し、インターネットを利用して単行本・雑誌やウェブサイトの記事など執筆活動を続けつつ実家の喫茶店も経営し、お菓子も作れるライターに。著書に「憧れのマイホームページを建てる。」（翔泳社）など。
審査員プロフィル