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2010年10月16日〔編集局〕
人気作家の五木寛之さん(78)が、浄土真宗の宗祖、親鸞(1173〜1262年)の前半生を描いて話題を集めた長編小説「親鸞」(講談社、上下巻)の執筆を再開、「親鸞激動編」に著す。信濃毎日新聞社は講談社を通じて来年1月から、朝刊小説として「親鸞 激動編」を掲載する。
小説「親鸞」は、乱世の平安時代末期、京の都で親鸞が8歳当時から描写。世間から低く見られ自ら悪人と称する人々と交わる中で「人はなぜ苦しみ、争って生きるのか」という問いを抱えて出家、比叡山で修行する。解けぬ悩みの師を求め、山を下りて浄土宗の宗祖、法然の門に入り、妻帯もして念仏を説き歩く。
生きることの根源を問いながら市井の人々とかかわって歩む青年が、念仏弾圧によって30代半ばで越後(新潟県)に流罪となるまでを生々しく躍動的に表現。昨年末に発売された「親鸞」上下巻は、これまでに計約65万部という人気を呼んでいる。
講談社によると、「親鸞 激動編」で五木さんは、流された越後での暮らしに始まり、布教のために信州の善光寺(長野市)などを経て常陸(茨城県)へたどり着き、鎌倉時代初期の東国(関東)で生きていく壮年期の波乱の日々をとらえる予定という。
後世に多大な影響を与えた宗教家となっていく過程が表されることになり、中世という激動の時代に立って生きる姿を、本紙で毎朝、読み味わうことができる。
善光寺には、親鸞が参拝した際に松の枝を本尊にささげたと伝わり、本堂にはそれにちなんだ「親鸞松」がある。百日間滞在したとされ、ゆかりの如来堂や院坊などのほか、長野市戸隠地区にも来訪を伝える旧跡が数多くある。
1980年代前半に執筆活動を一時休止して龍谷大(京都市)で仏教史を学ぶなど、造詣が深い仏教をテーマにした著述を精力的に進めてきた五木さんが、壮年親鸞をどう描いていくか、ゆかりの県内でも注目を集めそうだ。
【写真説明】五木寛之さん