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「認知症」テーマに上田で信毎健康フォーラム

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 第63回信毎健康フォーラム(信濃毎日新聞社、信毎文化事業財団主催)は25日、「認知症」をテーマに上田市材木町の上田文化会館で開いた。神経内科の専門医2人が症状や診断、治療の注意点のほか、地域の支援態勢について話し、集まった約500人が真剣な表情で聞き入った。
 全国組織「認知症の人と家族の会」顧問の中村重信・広島大名誉教授(京都市)は、加齢による物忘れと認知症の違いなどを説明。診断について、MRI(磁気共鳴画像装置)などの検査ではなく「いつから何ができなくなったのかなど、状況を医師によく話し、やりとりすることが大事だ」と強調。治療も「副作用があるので、まずは環境を変えるなど、薬以外の方法も試してほしい」とした。
 宮下医院(上田市)の宮下暢夫(のぶお)院長は各種の統計データを示し、高齢化が急速に進むにつれ、「認知症はまれな病気ではなく、誰でもなり得る病気になる」と指摘。お年寄りだけの世帯が増える中、かかりつけ医など医師同士の連携、医師やケアマネジャー、行政などのネットワーク、地域住民の輪をつくり、認知症の人を地域で支える態勢を構築する重要性を訴えた。
 飯島裕一・本社編集委員が司会をしたパネル討論は、来場者が事前に出した質問などに両医師が答えながら進めた。患者のケアについて、中村名誉教授は「本人がやりたくないことを強要するのは良くない。本人の経歴や状況に応じた『パーソン・センタード・ケア』が必要だ」、宮下院長は「例えば徘徊(はいかい)は、家にいるのが嫌など、本人が出している何らかのSOSの場合がある。なぜ起きるかを考えることが大事」と述べた。
【写真説明】「認知症」をテーマにパネリスト2人が意見を交わした、第63回信毎健康フォーラム=25日、上田市の上田文化会館

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