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<信毎の本> 山が動く土が襲う 長野県の土砂災害

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 梅雨や秋の台風シーズンは、大雨や雷、強風といった空模様だけでなく、豪雨が原因で起きる土砂災害も心配な季節です。長野県は山が多く、急傾斜地や深い谷があるため、土砂災害多発の地域です。
 本書は、土砂災害を地滑りと土石流、道路建設や治山工事での切土が崩壊して起こる労働災害の3種類に区分。県内で発生した計33例について、現場や被害の状況、発生メカニズムを解説し、予防策を提言しています。著者は元信大工学部長で、名誉教授の川上浩さん(77)=長野市。県内や周辺で発生した土砂災害の現場調査に四十数年携わってきた川上さんの調査ノートの集大成です。
 表紙の写真は、1985(昭和60)年に起きた長野市・地附山の地滑り。地滑りではほかに、善光寺地震(1847年)によって起きたケースや同市・茶臼山にページを割いて解説。土石流では、北安曇郡小谷村・蒲原沢(1996年)や、集中豪雨が原因の岡谷市・小田井沢川(2006年)など、記憶に新しい災害も登場します。切土斜面の崩壊による労災では、国道158号安房トンネル建設工事の際に起きた南安曇郡安曇村(現松本市)の水蒸気爆発などの例があります。
 多くのケースで川上さんが注目して言及するのは、水と地質、地形の関係。地質や災害発生時の雨量、地下水の分布状況の図面やグラフを多用し、発生メカニズムを説明しています。
 B5判、204ページ、定価2625円(税込み)。お求めは書店、信毎販売店へ。

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