信濃毎日新聞社が中南信地方の拠点として創設した松本本社が、今年で６０周年を迎えます。
　「信毎が北信地区の読者の期待に満足した時代にあっては長野本社のみをもって足れりとしたが、全県紙として県民の支持を得つつある現在においては、到底現状に安んずるを許さない」
　１９５０（昭和２５）年６月１日付の「夕刊信濃毎日新聞」。「戦犯５名が仮出所」などの記事が並ぶ１面に、「松本本社の発足に際して」とする社告が掲載されました。
　「夕刊信濃毎日新聞」はそれまで、中信や南信の読者向けの紙面も長野本社で発行していました。この日から、松本城近くにあった支社を松本本社に昇格。諏訪伊那版、中信版、松本市内版の３版を発行し、この地方のニュースはもちろん、県内や全国のニュースも充実させました。
　５６（昭和３１）年には、さらに編集、印刷部門を拡充し、朝刊の印刷をスタート。県南端まで朝刊の早朝配達が可能になり、「全県紙」として飛躍する基盤を整えました。
　現在の松本市宮田には７０（昭和４５）年に移転。９４年には、塩尻製作センター（塩尻市広丘高出西原）が完成して印刷部門が移り、最新鋭の輪転機で最新のニュースと美しい紙面を中南信の読者にお届けしています。

【写真説明】６月に創設６０周年を迎える信濃毎日新聞松本本社＝松本市宮田
＜ウィーン劇場オペレッタ　市民芸術館で６月＞
　信毎松本本社創設６０周年を記念して、さまざまな催し物を開催します。その一つが、ウィーン・シェーンブルン宮殿劇場によるオペレッタ「こうもり」の公演です。松本市深志のまつもと市民芸術館で６月２日午後６時半から。同劇場オーケストラとウィーンの名歌手たちによる世界的に評価の高い喜歌劇が楽しめます。
　「こうもり」は、ワルツ王として知られるヨハン・シュトラウス２世が１８７４年に作曲したオペレッタ全３幕です。明日に刑務所へ収監されることになっている銀行家のアイゼンシュタインを、友人のファルケ博士が舞踏会へ誘います。アイゼンシュタインの妻ロザリンデ、小間使いのアデーレ、刑務所長のフランクらが、それぞれの思惑を秘めて内緒で舞踏会に臨みますが…。
　まつもと市民芸術館では２００７年１１月、オーディションで結成されたまつもと市民オペラ合唱団が、松本室内合奏団との共演で「こうもり」を日本語で上演しています。

【写真説明】信毎松本本社創設６０周年を記念して上演する「こうもり」の一場面
＜ザ・ハーモニーホールで記念演奏会　４月から＞
　松本市島内のザ・ハーモニーホールが今年、開館２５周年を迎えます。信毎松本本社創設６０周年と合わせ、同ホールと共催で記念の演奏会を開きます。会場はいずれも同ホールです。
　４月２０日に開く「アンネ＝ゾフィー・ムター　バイオリンリサイタル」が注目です。
　ムターさんは、１３歳でルツェルン音楽祭（スイス）で世界デビューを果たしました。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団（ドイツ）の指揮者だった故カラヤンさんに実力が認められ、翌年には、ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭（オーストリア）にソリストとして登場。以来、人気と実力でクラシック音楽界のスターとして活躍しています。
　今回は、ブラームス作曲バイオリンソナタの第２番、第１番「雨の歌」、第３番を演奏する予定です。
　このほか、６月１２日には「小菅優・樫本大進・川本嘉子・趙静　ピアノカルテット」があります。若手実力者によるアンサンブルです。また、９月１１日と１０月２日、３０日には「弦楽四重奏でたどる楽聖ベートーベンの生涯」。文化庁芸術祭大賞受賞カルテット「古典四重奏団」の演奏でお楽しみください。
　９月２６日に「花岡千春と三人の野ばら」、１０月１３日には上岡敏之＆バッパータール交響楽団の演奏会があります。
　５月には市民芸術館で「岩波講座」
　信毎松本本社創設６０周年の記念イベントとして、５月８日にはまつもと市民芸術館（松本市深志）で「信州岩波講座まつもと２０１０」を開きます。このほか、ことし１年間にわたり、さまざまな催し物を開催します。
＜なーのちゃんバス 街に＞
　信毎松本本社創設６０周年を記念して、車体に信毎マスコット「なーのちゃん」を描いた松本電鉄の路線バスがことし１年間、松本市街地を走っています。
　車体の乗車口横と後部に描いてある２次元バーコード（ＱＲコード）を携帯電話で撮影し、専用ページに接続すると、日替わりで７種類の特製なーのちゃん待ち受け画面をプレゼント。ＱＲコードはバス車内のポスターにもあります。撮影の際は、安全に気をつけてください。

【写真説明】松本市街地を走る「なーのちゃん」を描いた路線バス