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信濃史料刊行完結40年 県立歴史館で編さんの足跡紹介

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 千曲市の県立歴史館で1日、夏季展「信州 知の遺産の系譜−歴史を記録した先人たち」(信濃毎日新聞社、県立歴史館主催)が始まった。信州の歴史資料を集大成した「信濃史料」(全30巻)の刊行完結から40年を記念。関係する歴史資料や、編さんにかかわった人物を紹介するパネルなど約350点が並ぶ。
 信濃史料編さんの礎を築いた地方史研究者、栗岩英治(1878〜1946年)に関する展示が目を引く。飯山市出身の栗岩は、県が1929(昭和4)年に設置した県史編纂(へんさん)委員会の委員として史料収集に尽力。県内各地で開いた「信濃講座」の講師を務めた。
 同講座で学んだ一志茂樹、米山一政らの歴史研究者が、戦後に本格化した編さん事業の中核を担った。その経緯も紹介。太平洋戦争下に栗岩が書いていた原稿や、30年間に及ぶ日記も展示した。
 初日は、会期中4回開く「信濃講座」の第1回があり、佐久市臼田出身の作家、井出孫六さんが「藤村をめぐる信州の近代史」の題で講演。「若き日の島崎藤村は歴史に対する感覚を欠いていたが、第1次大戦期のパリに渡り、世界と歴史に接した。その経験が(代表作の)『夜明け前』を生んだ」などと話した。
 信濃史料は原始から江戸初期までの考古遺物の図版や古文書などを収める。県と信毎、信濃教育会、信濃史学会などが51年に刊行会を再組織。69年にかけて刊行した。
 9月6日まで。月曜休館。
【写真説明】信濃史料に関する古文書や日記など約350点が並ぶ「知の遺産の系譜」展

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