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2009年5月13日〔メディア局〕
県内各地で、舟・船の形を模した出し物を担いだり、引き回したりする祭りが多く見られます。巨大な柴舟を曳行(えいこう)する諏訪大社下社(諏訪郡下諏訪町)の「お舟祭り」と、2台が激しくぶつかり合う穂高神社(安曇野市)の「御船祭り」が代表的で、集落や小字ごとに行われる祭りを拾い上げると、その数は相当なものです。
でも、海のない長野県で、どうして「フネ」なのか―。この疑問を出発点に、埼玉県立歴史と民俗の博物館学芸主幹を務める民俗学者の三田村佳子さんが、県内の「オフネ」祭事に足を運び、丹念に実態を調べ、由来や系譜を考察したのが本書です。
オフネ祭事は、中南信地方に濃密に分布しています。三田村さんは、一時的に組み立てる仮設タイプと、立派に飾り付けた恒久タイプに大別。さらに、地域や形態から「諏訪型」「穂高型」「池田型」「里山辺型」などと分類するところから始めます。
形態の変化、神事の流れなどをたどり、「諏訪大社をオフネの源流として、安曇野を取り込んで強大なオフネ文化圏を形成していった。海神信仰がオフネ採用の背景にあった」などとします。
オフネ神事にかかわる人は多いはず。自分たちのオフネの歴史に触れてください。
A5判、412ページ、巻頭カラー8ページ。定価2625円(税込み)。お求めは書店、信毎販売店へ。