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<信毎の本> 最期の流儀

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 がんには耐えがたい痛みがあります。肉体的な痛みだけでなく、死への恐怖や不安、残される家族や仕事への心配などの心の苦痛を伴います。こうした心身の苦痛を和らげる医療を「緩和ケア」といいます。
 昨年4月に「がん対策基本法」が施行され、緩和ケアに注目が集まっています。しかし、さまざまな誤解や認識不足があって理解はなかなか進んでいないのが現状です。
 著者の種山千邦さんは塩尻市で痛みの治療を行うペインクリニックを開業、末期がん患者の訪問看護と在宅での緩和ケアを行っています。本書は著者の14年間にわたる在宅緩和ケアの経験と、その間の挫折、悩みを交えながら、「在宅緩和ケア」の現状と課題を考えます。
 残された時間をどこで、どのように過ごすかを自分で決めることができ、患者が自らの『生き方』と『逝き方』に向き合えるよう、心身の苦痛を和らげる環境を整える―。それが、医師や患者を取り巻く人々のなすべきことだと著者は訴えています。
 誤解の多いモルヒネへの理解、告知、「死」を知る教育など、実際に医療の現場でぶつかってきた問題に踏み込みました。患者の家族の手記も掲載。著者自身が実父をがんで亡くしている本書は、全編が「肉親をみとる家族の思い」で貫かれています。
 A5判、192ページ、定価1575円(税込み)。お求めは書店、信毎販売店へ。

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