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農林業と環境「考える一助に」 信大教員20人が出版

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 信大農学部と同大大学院農学研究科の教員20人が、農林業や環境の研究成果を「食と緑の環境科学−農林業の多面的機能とその活用」(唐沢豊農学部長編著)にまとめ、信濃毎日新聞社から出版した。農学部は2006年、環境管理の国際規格ISO14001を取得するなど環境教育に力を入れており、唐沢学部長は「暮らしと密接にかかわる農林業と環境について、理解を深める一助になれば」と話している。
 本は全6章。教員がそれぞれの専門分野を担当した。「持続的農業生産と環境」の章では、輸入穀物飼料に依存している畜産を具体例に、飼料に含まれる窒素やリンが家畜のふん尿を通じ土壌に蓄積、河川や湖が富栄養化していく−との課題を指摘。持続的な家畜生産と環境保全を両立するため、牧草や野草をもっと餌に利用したり、排せつ物を資源化したりするといった方策を示している。
 「緑と環境」では、近年相次ぐツキノワグマの人里への出没や、農林業被害といった問題を取り上げた。野生動物と人の生活空間を隔てる里山のような「緩衝帯」を整備することや、野生動物が出没しにくいよう除間伐を徹底することの必要性を記している。
 唐沢学部長は「現代人の生活がよりよい方向に向かうきっかけになれば」と話している。
 本はA5判。278ページ。1680円(税込み)。県内の書店で販売している。
【写真説明】「食と緑の環境科学」を手にする唐沢学部長

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