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2007年9月16日〔編集局〕
信濃毎日新聞社は飯田支社の移転新築を記念して15日、連続講座「飯田下伊那やらまいか」の第1弾「中馬主筆と語ろう」を下伊那郡高森町公民館で開いた。地元高森町をはじめ県内外から定員を大きく上回る約150人が参加。中馬清福・信濃毎日新聞主筆が「『民(たみ)が立つ』時代」と題して基調講演し、「憲法って何だろう」「地域デビューしませんか」の2つの分科会で熱心に議論を交わした。
中馬主筆は基調講演で「伊那谷は青年団運動などで、抵抗する精神を持った『民』という意識が強かった」と評価した。その上で「敗戦により、民が立てる権利を得たが、戦後レジーム(体制)からの脱却として憲法を変えようという今、民が本当に立っているのか」と問題提起。
「市町村合併が成功だったのかどうかを考え、健康で文化的な生活を定めた憲法25条を実現させる努力をして、どこに、どうやって、そして何のために立つのかを考えるべきだ」と提言した。
「憲法」の分科会は、改憲の流れや市民の無関心が広がる現状を踏まえ、日常的にどんな姿勢で憲法や政治に向き合うべきかを議論。大戦中の旧満州(現中国東北部)への元開拓団員や在宅介護の担い手らが、国任せの危うさ、暮らしを守る現場から声を上げる必要性を語った。
「地域デビュー」の分科会は、参加者が6、7人のグループに分かれ、人材や資金の不足、多忙で時間がつくれないなどの悩みを挙げた。解決策として「世の中の仕組みが変わるのを待つのではなく、自分が変わることが第一歩」とまとめたグループも。進行役を務めた松本大・松商短大部専任講師の福島明美さんは「地域デビューに向けたポイントとして、どのような社会になっていくかという時代認識や、自分自身の特性を確かめていくことが大事だ」と提案した。
【写真説明】大勢が詰めかけた会場で「『民(たみ)が立つ』時代」をテーマに中馬主筆が基調講演した連続講座=15日、高森町公民館