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県縦断駅伝 55回目の記念大会、魅力アップ

 晩秋の信濃路で18、19日に競う第55回県縦断駅伝競走は、今年から「ふるさと選手制度」が導入され、男子中学生区間が一つ増える。市町村合併に伴い、チームは新しい市町村を基準にした郡市の単位で編成。第55回記念大会となる“県縦”の変更点や話題を紹介する。
<ふるさと選手制度 スリリングな展開も>
 本県出身で県外に在住している社会人や、長野陸協に登録していない県外在住の大学生が、中学校卒業時(中学校が県外の場合は高校の所在地)から出場できる制度。男子は2区間、女子は1区間で活用できる。県外で活躍している実業団選手にも門戸を開くことで、レベルの高いレースが期待される。
 エントリーしたふるさと選手は17人。大町北安曇では1988年ソウル、92年バルセロナ両五輪の男子マラソンで4位の中山竹通(愛知製鋼監督)が23年ぶりに、この大会を走る。「人が足りないと言うので走ることになったが、特別な思いはない」と中山。現在は選手と一緒に毎朝1時間半のランニングを続けており、10キロで32−33分ぐらいの走力を保っているという。
 現役選手の注目は、全諏訪の塩川雄也(SUBARU)と、西沢洋務(ヤクルト)。塩川は昨年1月まで駒大で4年続けて箱根駅伝を走り、いずれも優勝に貢献した。今年は春先に故障したが、夏から調子を取り戻している。西沢は昨年の一万メートルの記録が28分29秒89のスピードを持つ。
 関係者は、県内社会人のトップクラスと、実業団で活躍している選手の力を比べると「長い区間になれば2分ぐらいの差になる」と指摘。展開によっては順位が大きく入れ替わるスリリングなレースになる可能性もありそうだ。
<男子中学生区間の増設 普及や育成に一層に力>
 昨年まで20・1キロだった最長の3区を、男子中学生区間の3・7キロと、一般の16・4キロの区間に分割。男子中学生区間は2日目に駒ケ根市内を走る4・3キロと合わせて2区間になる。2日間の走行距離は変わらないが、区間数は21に増えた。
 20キロ余の区間はマラソン選手を育成を狙いに設置していたが、近年は「20キロの区間は負担が重く、選手配置が厳しい」というチームが増えていた。半面、男子中学生なら、どのチームも対応しやすいため、今年から変更になった。
 長野陸協の唐沢君雄駅伝部長は「選手強化のために長い区間は重要だったが、これも時代の流れ」と話す。県内では「実業団」として駅伝に取り組むチームがなくなり、同時にマラソン選手も育ちにくくなっている。一方で、県勢が3連覇中の都道府県対抗男子駅伝は中学生区間が二つあり、今後は中学生への普及と選手育成に一層の力を入れていく。
<市町村合併 10チームが編成変更>
 市や郡の単位でチームを編成しており、市町村合併で編成範囲が変わったのは10チームになる。このうち「上田小県」は「上田東御小県」、「南安曇」は「安曇野市」と名前が変わる。
 影響が大きかったのは上水内。豊野町、戸隠村、鬼無里村の旧3町村が長野市に合併し、昨年のメンバーから6人が抜け、うち主力2人は長野市で出場する。「やっと取りつくろった感じでチームになった。ぎりぎりの編成」と上水内の矢野俊則監督。故障者が出た場合、60歳の監督自身が走る準備もしている。
 チーム単位の人口を比較すると、最多の長野市が約38万人で、最少の飯山下水内の2万7千人余。長野陸協の役員は「厳しいチームもあると思うが、郡市対抗の駅伝なので理解して頑張ってほしい」と話す。

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