
第117回秋季北信越高校野球大会(13−16日・福井県)は長野日大が初優勝を飾り、来春のセンバツ出場をほぼ確実にした。丸子修学館も準優勝で続き、1990年夏以来の甲子園出場に希望を抱かせた。大会前は苦戦を覚悟していた両校だが、長野日大は福井商(福井)に1−0で競り勝ち、丸子修学館は富山商(富山)を延長で下したことで勢いづいた。試合ごとにたくましさを増した両校ナインに、きっかけ一つで大きく変わる高校生の可能性を感じた大会だった。
長野日大は右腕上村を中心に守り勝ち、頂点に上り詰めた。4試合で失点はわずか4。計34回を1人で投げ抜いた上村は、防御率0・53という抜群の安定感だった。準々決勝は直球狙いの福井商打線を、その直球で打ち取る圧巻の投球。連投の疲れから球威に衰えが見られた準決勝以降は、変化球の割合を増やし、各打者に的を絞らせなかった。上村の良さを引き出した石川の好リードも光った。
だが攻撃面は課題が残った。1回戦は2けた安打でコールド勝ちしたが、投手のレベルが上がった準々決勝からは、好機はつくるものの決定力に乏しかった。4試合のチーム打率は2割9分1厘。優勝校にしては寂しい数字だ。下位打線の底上げなど、もう一回りの打力アップが必要だろう。
丸子修学館は県大会同様、北信越大会でも気後れすることなくバットを振り、打ち勝つ展開で決勝まで進んだ。竹内崇、下村の両右腕ができる限り失点を抑え、切れ目のない打線で相手に重圧を掛けた。個性を生かしつつも、逆方向を意識した基本通りの打撃ができていた。
ところが準決勝まで活発だった打線が、決勝では長野日大バッテリーの配球に翻弄(ほんろう)され、沈黙した。再三仕掛けたヒットエンドランもことごとく失敗。九回の反撃で底力は見せたが、球の見極めや攻撃の連係など、細かな部分でまだ改良の余地がありそうだ。
飯山南・飯山は1点差の惜敗。右腕宮沢が小松工(石川)打線を7安打2点に抑えたものの、打線は初回に先制しながら追加点がなかった。能力的には負けていなかったが、しつこさやきめ細かさで相手が上回った。北信越大会で得た経験を今後につなげたい。
今大会は飛び抜けて実力のあるチームがなく、例年に比べて、レベルは低かった。長野日大と丸子修学館も甲子園で戦うことを考えれば、攻守ともまだまだ力不足だ。冬の間にやるべき課題は山積している。
長野日大と丸子修学館の2校とも春のセンバツ代表に選ばれれば、県勢のダブル出場は松商学園と長野が出場した1985年以来23年ぶりとなる。リニューアルされた甲子園球場で行われる第80回センバツは来年3月22日開幕。その日に向けて準備を整えながら朗報を待ちたい。
(中村恵一郎)
【写真説明】秋季北信越高校野球大会で初優勝し球場内を行進する長野日大ナイン(奥は準優勝の丸子修学館)