信濃毎日新聞ニュース特集「2007県議選」
会派再編加速へ 自民、結集の動き強める
2007年4月 9日掲載

 8日投開票された県議選の結果を受け、県会では改選時、10に分かれていた会派の再編に向けた動きが活発化することになる。党籍を持つ県議が1減の18人となった自民党は、党県議団(改選時10人)への結集を求める動きを強めている。民主党員の5県議も、初の同党系会派結成に動く見通しだ。勢力を7人に増した共産党県議団とともに、村井県政への姿勢も注目される。一方、政党と距離を置いてきた会派の動向も焦点だ。政党が存在感を増した県議選を経て、7月の参院選に向けた攻防も激化することになる。
 「党公認の11人当選はまずまず。公認以外にも声をかけ、県議団メンバーを増やしていく」。自民党県連幹事長で、党県議団所属の石田治一郎氏(長野市)は8日、8回目の当選を決めた会場で語った。
 党出身の村井知事就任を「追い風」として臨んだ県議選。ただ、現職2人が落選するなど、党籍を持つ県議は逆に改選時より減少した。石田氏は「県民に分かりやすくしないといけない」と党県議団に結集していく必要性を強調する。
 ただ、自民党籍を持つものの、公認を受けず会派名で届け出た政信会会長の望月雄内氏(安曇野市)はこの日「保守勢力の結集と、第二会派結成の選択肢がある」と述べるにとどまった。どこまで県議団への求心力が増すのか、不透明な部分もある。
 「公認、推薦の議員を主軸に、民主党系会派をつくりたい」。民主党公認で6選を果たした倉田竜彦氏(長野市)は同日、新会派結成を目指す意向を明確にした。
 公認4人、推薦6人が当選した同党。党県連は、党籍のある議員5人を軸に今後、会派づくりを検討していく姿勢だ。倉田氏は「6人以上の交渉会派にならないと意味がない」とし、同党系以外の議員との統一会派結成も視野に入れる。
 ただ、政党色を薄めた会派づくりに対しては、「憲法観など基本的なところで大きく食い違う人とは一緒に活動しにくい」(当選した民主新人の1人)と慎重な声もあり、本格的な協議はこれからだ。
 県会は2002年の出直し知事選を経て、最大会派の県政会が解散して以降、小会派の分立する状態が続いている。3人となった社民党系議員中心の県民協働・無所属ネット(改選時4人)や、現職が3人となる志昂会、4人となる緑新会など、それぞれの会派が新たな結集軸をどう求めていくか。
 一方、昨年9月に発足した村井県政にとっては、県会で知事へのスタンスを「是々非々」とする議員が増えたことで、公共事業の進め方や、長野市の浅川上流への「穴あきダム」建設を含む治水対策など、意見の分かれる施策について、より丁寧な説明が求められることになる。
 各地で激戦を勝ち抜き、過去最高の7人の勢力となる共産党県議団。公共事業や治水対策をめぐる村井知事の姿勢を「支持しない」姿勢を鮮明にして臨み、県会内での存在感を増す結果につながった。団長の石坂千穂氏(長野市)は「県政の前進面は評価し、後戻りにはノーを突きつけていく」と強調した。田中前知事を支持し、村井県政に批判的な立場のあおぞら(改選時3人)も現職2人が落選したが、代表の北山早苗氏が選挙区を旧南安曇郡から松本市に変えて当選を果たしている。
 再編を経てそれぞれの会派や個人が、目指す政策や、県政への向き合い方をどう示していくか。今後のポイントとなる。


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