信濃毎日新聞ニュース特集「2007県議選」
多彩な女性、期待高く 初の2けた11人当選
2007年4月 9日掲載

 ここ4回の選挙のたびに増え続けた女性議席が、今回も伸びた。8日投開票の県議選。現職7人、新人3人、元職1人が当選し、過去最多だった改選前の8人を3人上回った。県議会に占める割合は19・0%となり、昨年末時点で全国トップだった東京都議会を抜いた。党派も立場も異なる当選者たちは「生活に根差した県政に」「市民の要望をきちんと伝える」「しっかりと村井県政をチェックする」などと抱負もさまざま。一緒になって選挙を体験した支持者からは「必ず県政課題克服に役立つはず」と、多彩な女性の力に期待する声も上がった。
 松本市区では定数6のうち半数を女性が占めた。4選の公明現職牛山好子さん(58)は、同市石芝の事務所に、イメージカラーの黄色のスーツ姿で登場。支持者ら約80人が総立ちで「おめでとう」と拍手で迎えた。「地域の細かい課題を積み上げてきた成果」と深々と一礼。「生活者の視点で、防災や子育て支援などの政策に力を入れたい」と話した。
 安曇野市区から選挙区を移したあおぞら現職北山早苗さん(51)は松本市芳野の選挙事務所で支持者と抱き合った。急な立候補表明で地盤もない中での勝利。「田中改革を継承する人に当選してほしいとの思いが支えてくれた。村井知事の大型公共事業復活、借金の県政運営に反対の立場でチェックし、県民の声を届けたい」とした。
 松本市区の共産現職藤沢詮子さん(63)は、20人ほどの支持者が集まった同市岡田地区の松岡公民館で、引き締まった表情でマイクを握り「若いお母さんたちが安心して子育てをできるようにしたい」とあいさつ。女性が暮らしやすい社会実現を、高齢者福祉などと並ぶ柱に挙げて、3期目の意欲を語った。
 諏訪市区で返り咲きを果たした無所属の元職金子ゆかりさん(48)は同市中洲三ツ俣の事務所で、約300人の支持者らに手拍子に乗った「ゆかり」コールで迎えられた。「4年間、応援し続けてくれた皆さんのおかげです」。後援会員から手づくりの「金メダル」を受け取りながら、感極まった表情で話した。
 前回の落選後、「進退に迷った時期もあった」という。だが、「周囲から頑張れと励まされ、手づくりの選挙で実力以上の支持を得られた」と頭を下げた。「介護や子育てを女性だけの負担にするのではなく、社会全体で支える仕組みづくりを進めたい」と、抱負を述べる言葉に力が入った。
 大混戦の岡谷市・諏訪郡下諏訪町区でトップ当選の共産現職毛利栄子さん(55)は満面の笑みで支持者らと握手。「県政の後戻りは嫌だと訴え、皆さんと気持ちを一つにできた。大型ダムより暮らしや福祉、医療などの問題に頑張っていきたい」
 佐久市・北佐久郡区の無所属現職今井正子さん(57)は目を潤ませ両手を掲げて、支持者にガッツポーズ。「女性ならではの視点を絶やしたくないという思いに有権者が応えてくれた。その声をしっかりと伝えていかなければ」と語った。
 上田市・小県郡区の共産現職高村京子さん(53)は、支援者約60人を前に「障害のある方や高齢者、その家族の声を聞くにつけ、苦しみ悩んでいる人が多いと分かった」とし、3期目は「年金や乳幼児医療費の問題に取り組みたい」と述べた。
 長野市区で5選された共産現職の石坂千穂さん(58)は「予想以上の激戦。温かい支援を頂いた」と支持者ら約30人に何度も感謝。女性県議が増えたが「まだ少ない。もっと増えれば子育て支援や医療、福祉など女性ならではの提案ができる」と話した。


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