信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

マレットゴルフ場復旧5300万 松本市の方針決定に時間
2006年8月26日(10:25)
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 松本市内の奈良井川や梓川などの河川敷にある4カ所のマレットゴルフ場が7月の豪雨で冠水し、使えない状態が続いている。市は、4カ所の概算復旧費を計約5300万円と試算したが、市議会からは冠水のたびに多額の復旧費がかかる河川敷ゴルフ場のあり方に疑問の声が出ている。愛好者は現状復旧を早期に求めているが、市の方針決定には時間がかかりそうだ。
 松本市島立と笹部の奈良井川沿いにある「月見橋マレットゴルフ場」は、右岸と左岸に18ホールずつ、計36ホールを備える。毎日欠かさずプレーしにくる愛好者もいる人気のゴルフ場だ。今回の豪雨では左岸側の被害が大きく、コースがえぐり取られたり土砂が積もったり、今も無残な姿がそのまま残る。
 このほかに、梓川沿いの「島内」と安曇の「島々」、今井の鎖川にある「鎖川」の各マレットゴルフ場も被害を受けた。
 市の試算だと、復旧費は「月見橋」が2400万円。ほぼ全壊状態の「島内」が1800万円で、新たに造成するのと同程度の費用がかかる見通しだ。このほか「島々」が900万円、「鎖川」は200万円。「月見橋」と「鎖川」は2004年秋の台風でも冠水などの被害を受けている。
 18日に開いた市議会総務委員協議会で市議からは、「市は河川敷のゴルフ場は冠水する宿命と説明するが、そのたびに改修できるほど財政は豊かではない」「今後も豪雨は起こりうる。廃止して代替地を探すべきだ」などの意見が相次いだ。
 4カ所のうち「月見橋」と「鎖川」が冠水した原因の一つが、河床の上昇だ。県奈良井川改良事務所(松本市)は「正確なデータはないが、月見橋付近の河床が上がっているのは事実」とする。土砂の堆積(たいせき)が目立つ場所は、毎年河床を下げる工事を行っている。市公園緑地課の山村継雄課長は「まず、県に河床を下げる工事をお願いする。復旧するかどうかはそれからだろう」とする。
 マレットゴルフ場の造成費は1ホール当たり約100万円程度かかる上、2ヘクタール程度の広い面積が必要で、代替地探しもすぐにはできそうにない。これから台風の季節となるため、市は当面復旧には着手せず、河川敷ゴルフ場のあり方そのものから検討する考えだ。
 県マレットゴルフ連盟松本支部長の大久保恒友さん(74)は「マレットゴルフ人口は今も増えている。公園のゴルフ場は初心者が溶け込みづらい雰囲気があるが、河川敷は誰でも気軽に楽しめる」と、復旧を願う。
 「月見橋」が一昨年に被害を受けた際、利用者でつくる「連絡協議会」などが手弁当で連日復旧作業に取り組んだ。山口忠会長(76)は今回も、作業をする考え。「月見橋は多くの利用があり残念がる声は多い。復旧をお願いしたい」と、市の方針決定を待っている。(茂手木純)
【写真説明】7月の豪雨でコースが流されたり土砂が積もったりと大きな被害を受けた松本市の「月見橋マレットゴルフ場」


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