信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

伊那市西春近沢渡地区 87世帯に避難勧告
2006年7月21日(09:45)

 19日未明に土石流が発生した伊那市西春近柳沢地区の住民らは20日、復旧作業に追われた。市は地区の20世帯70人への避難勧告を継続、地区のお年寄りは西春近南小学校での避難生活を続けている。西春近では同日夕、段丘下の沢渡地区の87世帯260人と11事業所に土砂崩れの恐れがあるとして避難勧告を出した。
 山すそに広がる柳沢地区の多くが土砂で覆われ、樹木や電柱が倒れている。重機での作業の一方、男性数人が組になり道路を覆った土砂を除去。農機具倉庫から土砂をはき出していた男性(62)は「100年に1度の災害」と話した。地区の山側を通る中央道にも土砂が流入し、24時間態勢で除去作業が続いている。
 同小の体育館では20日午後5時現在、7、80代を中心に11人が避難。20日夜で3泊目のお年寄りも。「家のことを考えると寝られなくて」「現場を見ていない。話を聞いてびっくりしている」。同夕には県が市と協力して、バスでお年寄りを市内の温泉施設に運び入浴してもらった。
 鉄砲水で広域農道や付近が大量の土砂で覆われた西春近の諏訪形地区。路上には重機で寄せた大きな砂山がある。自宅の敷地が1メートルほど埋まった82歳の女性は「どうすればいいのか」と立ちすくんでいた。


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