信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

操業や営業休止も 物流大きく混乱
2006年7月20日(09:44)
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 梅雨前線の活発化による大雨で、18日から19日にかけ県内各地で住民に出た避難指示・勧告や、幹線道路の寸断による物流の混乱は、南信地域を中心に経済活動にも大きな影響を与えた。
 【メーカー】
 セイコーエプソン(諏訪市)は、本社と県内の全12事業所、関係会社を臨時休業。同社によると、国道の通行止めや渋滞で従業員の通勤が困難と判断した。
 ルビコン(伊那市)も伊那市内の伊那工場やグループ企業の工場を休止。KOA(同市)も箕輪工場(箕輪町)、中央工場、関連会社の興亜化成(ともに伊那市)の稼働を休止した。プリント配線板製造のシキボウ電子(箕輪町)は決壊した天竜川の現場から1・5キロほど下流に位置。避難指示を受け出社した従業員を帰宅させた。
 【小売り】
 南信地域を中心にショッピングセンターやスーパーを展開するニシザワ(伊那市)は、伊那市内の一部店舗で避難指示や勧告が出たため、開店時間が遅れたり早めに閉店した。エス・エス・ブイ(長野市)によると、西友箕輪店(箕輪町)は避難勧告地域内のため営業を休止。両社とも、指示や勧告が解除され次第、営業を再開する方針。
 南信地域に8店舗を持つアップルランド(松本市)は通常営業したものの、松本市内に物流拠点があり南信地域への配送が滞っている。県外からの物流も止まり、高速道路の復旧をにらみつつ現地の市場で野菜などを調達する手段を検討中だ。
 セブン―イレブン・ジャパンを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスによると、「県内の数十店舗」で配送に1時間程度の遅れが出た。箕輪町の天竜川決壊現場に近いセブン―イレブン信州箕輪松島店は、主な食材の陳列棚が昼前には空っぽになったという。
 【物流】
 阿南自動車(諏訪市)は、中央道の通行止めや諏訪湖周辺の道路が冠水した影響で、トラック約20台が車庫で待機したり、現場到着が遅れている。同社は「こうした事態は記憶にない」。日本通運長野支店によると、諏訪や上伊那地方では配達ができなかったり、配達時間指定の荷物に到着遅れが出ているという。
 【金融】
 八十二銀行(長野市)は、新町(上水内郡信州新町)、諏訪南(諏訪市)、伊那北(伊那市)の3支店を休業。店舗外ATM(現金自動預払機)も、長野市と箕輪町でそれぞれ1カ所稼働を取りやめた。長野銀行(松本市)は上諏訪支店(諏訪市)を、県信用組合(長野市)は諏訪(諏訪市)と伊那(伊那市)の両支店を休業。県労働金庫(長野市)も伊北出張所(箕輪町)を休業した。
 諏訪信金(岡谷市)とアルプス中央信金(伊那市)は全店で営業した。
【写真説明】災害を受けた地域のコンビニエンスストアでは、商品が届かず、食品棚が空になる店が相次いだ=諏訪市高島


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