信濃毎日新聞ニュース特集

大雨被害

5日間で1カ月分の降水量 長時間続き災害に
2006年7月20日(09:33)
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 県内全域に甚大な被害を及ぼした豪雨。長野地方気象台によると、各地で記録的な降水量となったのは、県内やその付近に梅雨前線が長期間にわたって停滞し、南から暖かく湿った空気が大量に吹き込んだことが原因だ。短時間の局地的な豪雨はなかったものの、19日に決壊した天竜川の上流域などで比較的多い雨量が継続して降り続いたため、被害が拡大した。
 15日午前6時の降り始めから、ほとんどで雨が上がった19日午後1時までの総降水量は、アメダス観測点の伊那市東春近は417ミリに達した。多数の死者・行方不明者を出した1961年の「三六災害」では、6月23日―7月1日の同市内の総降水量は382ミリ。今回は当時より短期間なのに降水量は上回った。
 19日までの総降水量を7月の平年1カ月分と比べると、同市東春近や諏訪市諏訪(391ミリ)は2倍超に。松本市上高地504ミリ、塩尻市木曽平沢446ミリ、辰野421ミリなどは1カ月分を超過した=図。
 大雨になる前の14日までは、日本付近を覆った太平洋高気圧が梅雨前線を日本海上まで押し上げた。その後、15日午後にかけて高気圧が弱まり、前線は県内やその南北約100キロの範囲で停滞。期間を通しての降水量は、多い所でも1時間雨量が20―30ミリ程度と通常の「大雨注意報」レベルだったが、「長く降り続いた」(長野地方気象台)。各地で地盤が緩んでいたところに、18日夜から19日朝にかけて比較的まとまった雨が降ったため土砂災害が起きた。


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