新聞の意見広告で田中知事を批判したのは知事選で当選させないための事前運動だとして、富森啓児(長野市)、松村文夫(岡谷市)、岩下智和(上田市)の三弁護士が公職選挙法違反容疑で告発した元八十二銀行頭取茅野実さん(長野市)について、長野地検は9日、罪に当たらないとして不起訴処分にした。
同地検の室井和弘次席検事は「特定候補を支持しているわけではないので、選挙運動だったとは言えない」としている。
富森弁護士は「広告は落選させる目的であり、事前運動にあたる。広告が選挙結果を大きく左右したことは明らかで、処分は不当な結果だ。検察審査会に申し立てるかどうか3人で協議する」としている。
茅野さんは「不起訴になるとは思っていた。ただ、起訴されたなら、言論の自由と選挙の公平さについて議論するきっかけになると思っていたので、残念でもある」と話した。
茅野さんは知事選告示前の6月15日付信濃毎日新聞朝刊などに「鳴りやまぬ『目覚まし時計』をもう止めましょう」と題し、意見広告を出した。