信濃毎日新聞ニュース特集「2006長野県知事選」
村井県政「是々非々で」 県議の受け止め、臨む姿勢
2006年8月 8日掲載

 前自民党衆院議員の新人村井仁氏(69)が6日の知事選で初当選したの受け、信濃毎日新聞社は7日、全県議58人に結果の受け止めや村井新県政に臨む姿勢を聞いた。現職の田中康夫氏(50)と対立し、村井氏を支持した8割近くの県議を中心に、田中氏の政治手法や姿勢への批判が選挙結果につながったとの見方が目立った。一方、新県政に対しては、村井氏の支持、不支持にかかわらず、「是々非々で臨む」との意見でほぼ共通した。多数与党体制となる村井新県政で、緊張感ある議会機能を果たしていけるか。
 知事選で村井氏を「支持した」と答えたのは、県会10会派のうち、7会派の計45人。自民党(9人)、県民クラブ・公明(同)、緑のフォーラム(8人)、志昂会(6人)、緑新会(5人)、政信会(4人)の全所属県議のほか、県民協働・無所属ネット(6人)の4人だった。
 田中氏の落選については「独裁的手法が問われる結果」(古田芙士氏=自民党)など、政治手法や姿勢が理由とする見方が多かった。また、「(村井氏による)現実的な改革を県民は望んだ」(宮本衡司氏=志昂会)とする声もあった。
 ただ、今知事選で村井氏の61万票余(得票率53%)に対し、田中氏も53万票余(同47%)を獲得。県民クラブ・公明の柳田清二氏は「『改革は止めるな』という意思表示」とした。この見方は田中氏を支持した共産党(6人)、あおぞら(3人)、トライアルしなの(2人)の所属県議と、県民協働・無所属ネットの2人の計13人もほぼ同様。共産党の毛利栄子氏は「53万票は『改革を後戻りさせたくない』とする思いの表れ」とした。
 新県政に臨む姿勢では、村井氏を支持したかどうかにかかわらず、「是々非々」「チェック機能を果たす」「建設的な論議をしていく」といった姿勢が大勢を占めた。
 「田中県政で活発な議会になった」(丸山賢二氏=緑のフォーラム)とし、そうした機能を果たす自信を示す意見もあった一方、田中氏を支持した県議からは、共産党を除きほぼ「オール与党」だった旧吉村県政時代を踏まえ、「知事与党中心の県議会に後戻りするのは恐ろしい」(北山早苗氏=あおぞら)との懸念も聞かれた。
 村井氏は選挙戦で、「県会と仲良くするつもりはない。こればかりは是々非々だ」と強調した。「古い県政に戻るという心配を払しょくしていく」(小林利一氏=県民クラブ・公明)ためにも、なれ合いを排した透明性の高い論戦、具体的な政策提案を議会側から仕掛けていけるかどうか。
 来春には県議選が控えている。村井新県政がスタートする9月以降、県会論議のあり方や県議個々の姿勢には県民の厳しい目が注がれることになりそうだ。


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